2019 Autumn & Winter

Prologue

2019 Autumn & Winter

Prologue

Prologue
- 光 -

美しい光は記憶に残ります。

昨年の冬のことです。
私たちアトリエは札幌でのCARAVANを終え、

次の土地に発つ前に、
せっかく来たのだからと
道東へ車を走らせていました。

すると鈍く白い空からはすぐに粉雪が舞い始め、
あっという間に辺り一面がモノトーンの世界に。

けれど嘘のように明るく静かな景色と
車の窓に張り付く透明な結晶を見て、
ああ、これは小さな光の粒が
積もっているのだと感じました。

繊細で緻密な光の重なりでした。

思えば私たちはずっと、
この光の重なりを探求してきました。

ダイヤモンドからは輝きよりも、
静かな潤みを引き出すように。

透明な水晶には、
光以上に翳りを感じる奥行きを。

真珠やシェルには、光を溜め込んだような
柔らかさを見ました。

そうした質感に触れるたび、
いつか見た景色が重なります。

澄んだ水面、寒い日の白い息、朝霧の道。

記憶の中にある光を辿ると、
決して特別なものはなく、
静かにひそやかに、
日常に存在しています。

きっとあなたのそばにも。

今季も様々な光の記憶を手繰り寄せながら、
一つ一つのアイテムに落とし込みました。

その何かしらがあなたの記憶の引き出しにも
静かな光を当てられたらとても嬉しく思います。