‘26 Spring & Summer

LABO _ Pearl

波の記憶

浜辺で拾った貝殻に耳を当てると、海の音が聞こえる。真珠を眺めていると、その話をふと思い出すことがある。

真珠は海の中で静かに貝の中で育まれる。私たちが扱う“越しもの”と呼ばれる真珠たちは、通常の養殖期間に比べて倍以上を海の中で過ごす。これは海中に長く過ごすことで通常よりも真珠層を厚く巻き重ね、より瑞々しい照りの真珠を生み出す真珠養殖の伝統的な育て方だが、これは同時に真珠を内包する母貝への負担が大きいため、途中で貝が死んでしまう確率も大きく上がってしまう。それゆえ、現代の真珠養殖は安定した数量を得るために、その年の中で引き揚げられる”当年もの”が主流だ。

私たちが長らく真珠を譲り受けている養殖家は、「真珠養殖は人間がきっかけを与えるだけで、基本は貝の頑張りによって生まれる」と話す。2年もの間、母貝が海の中で頑張って生きて、残してくれたビデオテープのような存在が、私たちの目にしている真珠である。そう思うと、より一粒一粒が尊い存在に感じる。

全体的に少し青みがかったグレイトーンで、形も不揃いのバロックパール。一つの珠の中にも豊かな色彩の奥行きがあり、それらを机に並べてみると、まるで波がさざめくような豊かな光が生まれる。その一粒一粒を大切に選びながら、指輪をはじめとした一点もののコレクションを仕立てた。珠にあわせつつ、女性の身体との一体感や自然さを意識している。

真珠が巻き込んだ海の時間、波の記憶。 それらはきっと今の私たちだけでなく、昔もこの先も、同じように海を眺めるときの心の奥にある静けさを、そっと映し出してくれるだろう。

‘26 Spring & Summer
LABO _ Pearl

LOOKBOOK

日本の海で育つアコヤ真珠。その中でも青みのあるグレイッシュな珠を選り、バロックパールならではのそれぞれの個性を生かして仕立てた一点もののコレクションです。今季、珠を包み込むように仕立てた指輪はハンサムな美しさを。贅沢に真珠を連ねた連のネックレスは、日常的なリラックス感と上品さが滲みます。
すべて一点ものとなりますが、7月中旬までの会期内では一部リングのサイズオーダーなども承ります。珠の力強さ、おおらかさ、そしてみずみずしさを、どうぞご堪能ください。