salon MEDERU 企画展

緑の純度 _ LABO for Emerald

開催期間 2021.12.3 ~ 12.26

エメラルドを眺めていると、ある小説を思い出します。

物語のなかで、エメラルドは古い引き出しの中に隠されていました。主人公は、持ち主である母からその不可思議な響きと共に「これは可憐で、貴重で、気品があって、いちばん大切にされていたもの」だと教わります。しかしその美しさは過去の遺物で、他の様々な事柄と同様に人々の記憶から消え去っているのです。

物語の中で人知れず煌々と輝いていたエメラルドは、その儚さに違わぬ繊細な宝石ともいえます。それは、どんなものでもクラック(ひび)や不純物を内包しており、硬さはあっても脆いとされるからです。そんな一面に「傷一つないエメラルドを得るのは、欠点のない人間を探すより難しい」という諺が生まれるほど。

エメラルドをルーペで覗き込んでみると、一面の緑の中に、奥行きのある風景が浮かび上がります。これは内包物を抱いた結晶が織りなす、独特の景色です。色彩も一様に同じ緑ではなく、暖かなものからひんやりとした色合いまであります。ピースそれぞれに濃淡が異なっていたり、グラデーションを織りなしていたり。どれも緑豊かな湖畔の風景を蒸留したような清々しさを閉じ込めており、その純度の高さに酔いしれそうになります。

私たちは装身具のフォルムを考える時、元型となるかたちを「器」と言うことがあります。となるとエメラルドは、器に生ける花のほうです。着飾るよりむしろ「眺めて味わう」愉しみを感じさせる、繊細で瑞々しいその美しさ。それぞれの個性をもったピースは今、アトリエの引き出しの中で眠っています。その中から、”わたしが想う美しさ”を見出して頂けたら嬉しいです。

冒頭の小説は喪失の物語であると同時に、希望の寓話でもありました。傍らにあるなにげないものでも、眼差しを向けた瞬間から代えがたい存在となります。時間のかかることですが、"わたしが想う美しさ"で彩っていく日常はきっと素晴らしい風景になり、たとえ形を失っても、記憶の中で強く輝き続けるはずです。

装身具もそうした風景の中に、ささやかながらに描かれることを願います。

salon MEDERU 企画展

緑の純度 _ LABO for Emerald

開催期間 2021.12.3 ~ 12.26

私たちが目にする宝石素材は、本来は自然から生まれるゆえの繊細な揺らぎや個性を宿すものです。その自然美を生かした”一点もの”のお仕立てを通じて、mederuの定番アイテムとは別のご自身にとって馴染む個性との出合いをお届けしたいと考えています。

  • ご注文について
    • 個性ある素材となるため salon MEDERU でのご案内を基本としております。
    • 展示アイテムをベースに、お客様一人一人のサイズに合わせてジュエリーをお仕立てする企画展となります。
    • 展示アイテムもご購入頂けます(お渡しは年明け以降となります)
    • 価格帯は10万円台〜となっております。
    • 素材のご用意がなくなった場合、会期を終了する場合がございます。
    • ご来場が難しいお客様には 展示アイテムに限りInstagramやZoomを使ったオンラインでのご相談を承る予定です。後日公開するアイテムページよりお問い合わせください。