salon MEDERU 2月企画展

Bridal & Old-Cut Diamond展

時を描く余白

開催期間 2022.2.11 ~ 2.28

年代の古い指輪に刻印が残っているのを見つけると、そこに確かに誰かが存在していたことを実感します。かすかな傷がたくさん入っているのを見ると、名前のない小さな毎日が思い浮かびます。そうして長く使われてきた指輪への憧れを、ずっと抱いています。物が物以上の意味を持って存在している。そんな装身具を生み出すことを目指して、日々探求を続けてきました。

アトリエの庭に落ち葉が吹き寄せられる頃、私たちはブライダルリングについて再び思いを巡らせていました。形や作り方を見直し、素材を吟味する時間が過ぎた頃には、新たな年がはじまり、外の空気も一層清々しく感じられたものです。私たちにおけるブライダルリングの物作り。それには「余白」を残したデザイン、という言葉がしっくりきます。

作って届けることは、指輪にとっての始まりでしかありません。これから先に持ち主と歩んでいく時間を重ねていくことで、指輪が真に出来上がると考えています。

古くよりある指輪のかたちに基づきながら、私たちのブライダルリングは生まれています。伝統的な幅広のウェディングバンド、持ち主のしるしとなるシグニットリング。願いを込め丁寧に彫り刻まれた文字や文様、手から手へと受け継がれる中で昇華された手仕事……。それらは皆、時を重ねた先に美しい姿となることが到達点です。そのため、自分から言葉を発するようなことはしません。目に見えないところに細心の注意を払いながら、どんな時でも静かな存在としてあるように形作っています。

ダイヤモンドもまた同じです。光の反射で輝かせるよりも、自然体であることを尊ぶ。水のように透きとおった質感を残したオールドカットは、私たちの考える余白に相応しいかたちだと思います。素材の持つ素のままの美しさに、飾らず心地よく時を重ねられるはずです。

新しく出来上がったダイヤモンドリングを眺めていると、出合うのが初めてではないような感覚が湧いてきました。きっと単に古いカットだからというだけでなく、どことなくぼんやりと、ダイヤモンドを身に着けた美しい女性の姿を想像してしまうのです。

もし多くの人がそうであるならば、人生のなかで特別なダイヤモンドリングを選ぶというのは”素敵な大人になるために、未来への約束を交わすこと”なのかもしれません。

余白を残したデザイン。それらは指輪が指輪である以上のことを施さない、真っさらなカンヴァスとなります。

時間を重ねた指輪に見られる無数の小傷は、金属の風合いを柔らかなものに変えていきます。その光沢は、ある人には陽だまりのように見えるでしょう。またある人には、雲間に覗く光芒のように見えてくるかもしれません。

何気なく過ごす日々のあわいに、ふと手元に目を留めた時。思い出される様々な出来事と共に「これまで過ごしてきた時間は実に美しいものだった」と、気づいてもらえるように。

この広い余白を使って、持ち主の時間をじっくり、丹念に描き残してもらうことを願っています。

salon MEDERU 2月企画展

Old-Cut Diamond 展

開催期間 2022.2.11 ~ 2.28

mederu bridal〈Old-cut diamond ring〉の新たな顔ぶれと共に、この期間だけブラウンカラーのオールドカットダイヤでのお仕立ても承ります。アトリエがこれまでに集めた様々な表情のダイヤに、これからの時を重ねられる出合いがありますことを願っております。

  • お品物について
    • 展示アイテムをベースに、お客さまのサイズに合わせて指輪をお仕立てする企画展となります。
    • 展示アイテムもご購入頂けます(お渡しは会期終了以降となります)
    • 価格帯は20万円台〜となっております。
    • 素材のご用意がなくなった場合、会期を終了する場合がございます。
    • ご来場が難しいお客様には、展示アイテムに限りInstagramやZoomを使ったオンラインでのご相談を承ります。WEBやSNSで気になる商品がございましたら、お問い合わせください。