salon MEDERU 3月企画展

LABO for White

白のさやけさ

春を待つ折、日本画家・上村松園の言葉に出合いました。

—私は大てい女性の画ばかり描いている。しかし、女性は美しければよい、という気持ちで描いたことは一度もない。一点の卑俗なところもなく、清澄な感じのする香高い珠玉のような絵こそ私の念願とするものである。”
(『青眉抄』1943年)

終生、理想とする像をその筆に重ねながら、美人画を多数描いてきた女性です。見る者の心を凛とさせるように清澄で気高いその描写は、他に挙げられる美人画の大家とはまことに一線を画すものといえます。

松園が描く肌のように。清らかさを内包する白に憧れて、私たちもアトリエにある素材から探し求めました。

温かくしっとりとした白は、白蝶貝の色。胡粉の白に類するものを感じます。どちらも貝に由来する、生きた白。不透明ゆえ肌に乗せると明るさが冴え、身体と一体化するような馴染みを得ます。

水晶は、裏側に曇りを施すことで繊細なニュアンスが生まれます。透き通った無垢なさまから含みのある表情へ、はっとするような二面性。カットや磨きによって多様にイメージを変え、その時々の心象を繊細に映しだす素材だと感じます。

温もりある柔らかさと、深遠な奥ゆかしさ。どちらも、女性が元来持っている姿に重なるのではなかろうか。度々探求を続けてきた白蝶貝と水晶ですが、この二つの素材が対になって並ぶことで、また新たな美しさを見たように思います。

人が装身する瞬間、そこに透けて見えるのは理想の姿ではないかと思います。美しさを味わいながら、憧れに一歩ずつ近づく自らの姿も愛しむ。その歓びは、しなやかに生きていく力にさえ変わっていきます。

いつもの道すがら目にする蕾も、花と咲く日はすぐそこです。

salon MEDERU 3月企画展

白のさやけさ _ LABO for White

開催期間 2022.3.11 ~ 3.29

私たちが目にする宝石素材は、本来は自然から生まれるゆえの繊細な揺らぎや個性を宿すものです。それらに見出す美しさに一つ一つ焦点を当てていくのが、salon MEDERUの企画展です。今回は私たちの定番素材ともいえる白蝶貝・水晶の魅力をひもときながら、現在受注中の〈白蝶貝〉と共に〈水晶〉シリーズの復刻受注や白と透明の素材にまつわるアーカイヴ・一点もののご案内をいたします。

  • ご注文について
    • salon MEDERU でのご案内を基本としております。

    • 一点ものの展示アイテムもご購入頂けます(お渡しは会期終了後となります)

    • ご遠方の方で過去にsalonやCARAVANにお越し頂いたことのある方は、InstagramやZOOMを使ったオンラインでのご相談も承ります。
    • 素材のご用意がなくなった場合、会期を終了する場合がございます。