22AW LABO _ 瑪瑙 Agate

邂逅のピース

「美しいものは人生の喜びである」。 ウィリアム・モリスが遺した言葉は、今の時代にもなお私たちの背中を押してくれます。

私たちは今季再び〈瑪瑙〉を取り上げることにしました。瑪瑙は世界中のいたるところで採掘される、ある意味でありふれた石。とはいえ産地によって異なる模様を持ち、宝石としてのあしらい方も他の素材とは異なる伝統を持つ、少し変わった存在です。

そもそもが一枚の絵のように完成された瑪瑙の模様は、当然のことながら一度刃を入れてしまうと元には戻せません。美しいものを作るために、美しいものを壊す。矛盾する行いに時として躊躇いを覚えながら、時間をかけて慎重に素材を眺めていく。すると心に引っかかる瞬間が、確かにあるのです。これで良いのだろうかと戸惑いを感じながら、どうにも惹かれるものがある。行ったり来たりの想像を巡らせながら意を決し、磨り出した瑪瑙をゴールドの額縁に嵌め込んでいく。

瑪瑙が装身具として仕上がっていく中で、私たちはこれまで見てきた瑪瑙の瑪瑙らしいイメージを取り去り、中に覗く純粋な景色としての姿を求めていたのだと気づきました。切り取った画面を模様で占めるのではなく、どれも余白となる透明な部分を含んでいます。瑪瑙であることを忘れさせるような、小さな絵画を思わせるピースたち。一点一点がこれまでに仕立てた瑪瑙の作品よりも強く、独自の存在感を持ったように思います。

瑪瑙という素材を探求するようになって8年ほど経ちますが、まだまだ私たちの知らない美しさが眠っていました。この個性豊かな面々に何かを感じたら、一つ一つに向かい合い、美しさを見定めて頂けることを願っています。私たちがそうであったように、美を定義することには勇気が要りますが、戸惑いの先に喜びが垣間見えるような瞬間があるはずです。そして未知なる美しさの発見はきっと、一歩先の自分を創り出してくれることでしょう。

自然の美を貰い受け、アトリエの眼で抽出した小さなアートピースたち。ここに、わたしの中の新たな美しさに出合う喜びを見つけて頂けますように。

salon MEDERU 9月企画展

’22AW LABO _ 瑪瑙 Agate

企画展会期:9.10-9.26

世界各地の産地により模様が異なり、その一つ一つの原石にも強い個性があらわれる〈瑪瑙〉。人々は遥か古代からこの石に感性を重ね、様々な風景や物語を見出しました。

他の宝石とは違ったアプローチで愛されてきたこの素材。数多くの中から選り抜き生まれたピースにじっくりと向き合いながら、ご自身の中の新たな美しさに出合って頂けると幸いです。

  • 企画展に並ぶピースは全て一点ものとなり、現品のお渡しは会期終了後となりますのであらかじめご了承ください。

  • 企画展終了後のキャラバンにもお持ちいたしますが、素材がなくなり次第受注を締め切らせて頂きます。

  • サロンやキャラバンにお越しが難しい方は、オンライン上でビデオを繋ぐ「Online Boutique」にてご案内いたします。