先日、たまたま街行く年上の女性の髪色に目が留まりました。美しい艶のあるグレイヘアでした。

グレーという色、若い時分には地味な色として映ったものでしたが、黒よりも柔らかく白よりも曖昧なニュアンスを帯びながら、さまざまな明度と温度で寄り添います。今では、とてもしなやかで自由な色なのだと感じています。

取り繕わず、ただ少しはシャンとして。グレーとは心地良くいられるままの自分に溶け込む、大人になればこそしっくり来る色なのかもしれません。若さや色気が全てではなく、それぞれが誠実に時間を重ねて備わった知性と気品によって、自然と円やかに成熟していく……。凛とした中に柔らかな女性らしさをはらむグレイ・カラー、その向こうに憧れの面影が浮かび上がります。

ホワイトコレクションと先に名付けた手前ではありますが、この素材の持つ印象から“グレイッシュ・ゴールド”を愛称としてみようと思います。独特の素材に時間の経過を滲ませる風合いは、金でも銀でもなくしなやかな灰色という捉え方がよく似合うのです。