23SS LABO
JOURNAL for〈Pearl〉

生命のつや

生きものである。いのちである。

真珠を見つめるほどに、実感が湧き上がります。

私たちはこれまでに真珠の故郷を訪ね、彼らを取り巻く環境や事情も含めて、その様々な姿を見てきました。今春、海の姿は穏やかな晴明。真珠は、陽光に反射する水面の煌めきを纏ったような、生き生きとした艶を帯びていました。

毎年足を運ぶことでようやく、私たちの中にある真珠のボキャブラリーは増えてきたと感じます。翻るとまた、世の人々にとって「真珠とはこうあるもの」という観念が根強いのは必然とも思えます。長く日本人に親しまれてきた宝石素材であるゆえ、思い浮かぶのは完全な真円の白い珠や、フォーマルな場面、スタイル。誰もが記憶の片隅に携えている、真珠とその周りのイメージがあるはずです。

私たちは装身具として長く愛用できるものを求める中で、真珠においてもどこか畏まったものではない形をずっと模索しています。

愛用できるものとは、その人に馴染むもの。人が不完全・不均斉な存在であることを前提とするならば、人のかたちに馴染むものとは、真に自然のままのもの。とりわけ海の色、いのちの形を感じさせてくれる真珠は、忘れかけていた美しさの観点を云わず語らず示してくれる存在。私たちはいつだって、このたからものを目の前にして心揺さぶられずにはいられません。

真珠は、母貝の体内に挿核し分泌物が積層されることで生まれます。貝の涙の結晶と言うには過ぎますが、とりわけ真珠層の巻きが濃密なバロック真珠は、私たちにありのままのいのちの姿を見せてくれます。

手の上に乗せたバロック真珠を見つめていると、しばしば長い時間が過ぎ行きます。豊かな色が織りなす”艶”に目を凝らすと、まるで波のゆらぎ、海の色、風景の刻一刻と移ろう姿がフラクタルとなって重なり、最後に「わたし」であり「あなた」という人のかたちに重なり合うかのような想像が広がります。

生命そのものの強さ、美しさ、儚さ…… さまざまなものを包み込みながら生まれ出でる真珠。そのいのちの艶は、ものと人との輪郭をやさしく馴染ませ味わいをもたらす、装身具の本質の一つとも思えてくるのです。

salon MEDERU 4月企画展

23SS LABO
<Pearl>

リリース予定:2023.4.8(土) ~

自然のままの色つやかたち、ありのままが美しい。mederuが集めてきた生命感、躍動感のあるブルーグレーのあこや真珠を選り抜いて、素のままのピアス、ネックレスに仕立てました。一粒一粒の持つ力強い個性が並び、真珠という存在の奥深い自然味を感じて頂けることと思います。加えて今季はベビーパールをあしらったアイテムをお作りしています。小粒ならではの上品で繊細な艶をゴールドやダイヤの手仕事で繋ぎ、遊び心ある魅力を探求しました。これまでのアーカイヴや通年受注しているアイテムとあわせてご覧ください。

  • 素材の数には限りがあるため、なくなり次第受注を終了する場合もございます。
  • mederuの真珠は一点もの・受注生産品に関わらず個体性のある素材です。ぜひ現品をお確かめの上ご検討ください。
  • サロンやキャラバンへのお越しが難しい方はオンライン上でビデオを繋ぐ「Online Boutique」にてご案内いたします。