'23 Autumn & Winter

BASIC | Tiny diamond

Looking at the origin

丸15年、Timelessの探求を続けてきて、私たちにとって欠かせないことが見えてきた。美しさと温もりである。美しさだけでは奥行きが足りないし、温かさだけでは洗練がない。二つの調和が必要だ。物作りの始まりである〈Je t’aime〉から直感していたその両軸を、常に思い出させてくれるのは“手彫り“だった。

はるか昔の先人が壁や石板に絵や言葉を刻みつけたように、何かを残したい・伝えたいという気持ちの発露から生まれた“手彫り”は、人の熱を宿す手仕事だ。現代において美しい手彫りをできる職人は数えるほどだが、私たちはこの原初的な美意識と温もりに惹かれ続けていた。

それと同時に、最も普遍的なフォルムである“ゴールドバンド”を、より美しく味わい深いものにしたかった。16年目を迎える今季は、原点回帰の意味も込めてその二つの掛け合わせに取り組むことにした。

手彫りの味わいを引き出すために、ピュアな透明感をもった小さなダイヤを合わせて模様を作った。ダイヤの輝きだけが目立つのでもなく、ゴールドの余白も一体となるバランスを探す。ゴールドとダイヤの関係性はまるでテキスタイルだった。そこに手彫りが奥行きを与え、影を生み出す。静かな光と影で織りあげた美しい帯のようにも思えた。この彫り留めの探求を〈Chain〉や〈Signet〉にも取り入れて、今季のタイニーダイヤのコレクションが出来上がった。

指輪の原点であるゴールドバンド。手仕事の原点である手彫り。原点を見つめると、あらゆる美しいものは過去すでにあって、人々が忘れているだけだと改めて思う。もうすでに在るはずのもので、今まだ生み出されていない美しいものを作りたい。原点に立ち返り、また景色が広がったように思う。

'23 Autumn & Winter

BASIC | Tiny diamond

LOOKBOOK

受注開始:2023 10.7  

BASICでは”手彫り”にフォーカスを当て、スタンダードなゴールドバンドや、定番の〈Chain〉〈Signet〉などへの彫り留め探求に取り組みました。極小のダイヤを留めることで生まれる地金の質感や余白を丁寧に作り込んでいます。ゴールドバンドのモデルは今季の限定受注、他の指輪はすべて1点ものでのご案内です。