BASIC COLLECTION<Material>

Black mother of pearl

Story _ 光と影をはらむ艶

黒蝶貝は、洋服のボタンといった身近な装飾から、螺鈿細工に代表される伝統的な工芸にまで広く用いられてきた素材です。その魅力は、光と影をはらんだ質感にあります。黒蝶貝の内側には、この質感のもととなる真珠層が広がっています。そこに光が入り干渉を起こすことで、貝の基底にある黒に対してさまざまな色が織り重なります。黒は全ての色を含み、白もまたそうであるように、黒とひとくちに語ることのできない複雑な色彩をはらんだ黒蝶貝。そして貝の上で、色は静かに光となり影となって、瑞々しく豊かな質感を私たちに見せてくれるのです。黒というベーシックな色を持ちながら、移ろいをも包み込む質感。光と影をしなやかに行き来する艶めきで、まとう人の静かな美しさを引き立ててくれる素材です。

Product

黒蝶貝は真珠層を持つ有機素材であることから、一つひとつの色味や表情に個体差があります。MEDERUではそのゆらぎを素材の魅力と捉えながら、しっとりとした“黒”の質感と豊かな潤みが感じられる部分を選り抜き、宝石研磨技術をもつ職人の手で一つ一つのピースを丁寧に磨き上げて仕立てています。また、長く美しくご愛用頂けるよう年代物の貝がもつ真珠層の厚い部分を用いたり、黒蝶貝を両面に貼り合わせる技法を取り入れるなど、素材の活かし方にも工夫を重ねてきました。さらに、経年とともに墨色や灰色に柔らかく変化していく質感は、有機物ならではの美しさでもあります。 光と影が抱き込まれた、豊かな艶めき。その内側に、時間を重ねていくことの喜びもそっと閉じ込める、静かな奥行きをまとったコレクションです。


Journal

23AW Layers of black