Product Journey

静かな調和

たくさんの古いジュエリーを見てきた中で、これは好きだと思えるものは実は一握りだ。繊細ではあっても華美に見えたり、モダンではあるけど作りが雑なこともある。惹かれるのは緻密さとモダンさと上品さが同居しているもの。数は多くないからこそ、出合えると嬉しい。

例えば、このブローチやイヤリングもそのうちの一つだ。ジュエリーと言えば宝石を主役に石座に掲げられているようなイメージが根強いけれど、これらは形が主役だ。シルバーの地金に馴染む"マーカサイト"という金属質の素材を選び、石座を使わずに埋め込むように留められている。この素材は当時は高価だったダイヤモンドの代替品として使われることが多かったが、フォルムと質感に着目してみると、色や輝きをあえて使わない引き算された端正な美しさが感じられる。

シルエット、素材、質感の一体感。今季はこの静かな美しさを探求するべく、ひときわ小さなダイヤを選んで、シルエットの内側に一粒ずつ彫り留めていくことにした。ダイヤには現代のカットよりも原石の透明感が残るオールドカットを選んでいる。透明なダイヤは周りのホワイトゴールドの色を吸って馴染んでしまう。一見ダイヤとは分からないかもしれないけれど、これはダイヤでなくては叶わない質感でもある。無色透明で馴染んでいくことと、彫り留めに耐えうる硬さがあること。仕上がったものを見ると、古典的な"彫り留め"という手仕事は、違う素材同士を一つに馴染ませていくことができるモダンな手仕事のようにも思える。

ダイヤというと華やかなイメージが付き纏いがちだが、ダイヤだからこそ静かな美しさを引き出すこともできる。静けさと確かさ、古典と現代。軽やかな着け心地の中には、静かな調和がぎゅっと詰まっている。


Diamond Series

 

受注開始:2021.5.14 ~
シーズン中は受注予定ですが、来シーズン以降にマイナーチェンジすることもございます。あらかじめご了承ください。

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