〈Je t'aime〉という名をを付けたジュエリーを世に送り出し、13年の月日が経ちました。

mederuを始める前のことを思い出します。

その頃はジュエリーというと、おぼろげに「いいな」と思うもの。浮かんでくるのは、母や祖母の記憶です。幼い自分でも、大きな箪笥の引き出しに小さな箱がいくつか入っているのを知っていて、母たちはお出かけをする時にそれらをドレッサーの上に出してきます。小さな箱を開けると指輪やイヤリングが入っていて、あれこれ選びながら身支度をととのえ、ひとりの女性の姿になっていくーー。ジュエリーにそんな憧れを期待を抱いていたものですが、大人の入り口に差し掛かっていてもしっくり来るものに出合うことがありませんでした。

ジュエリーへの憧れ。その心はあるけれど、かたちがぼんやりとしていました。憧れのかたちとは、なんだろう。

答えがないままに初めて足を踏み入れたジュエリー製作の現場で、熟練した手仕事を間近でみることとなりました。ゴールドは、まるで人の手の温もりによってかたちを変えるように、美しく磨かれていく。ジュエリーとなる金属は、冷たく硬いものではないのだと知った瞬間でした。

そうして生まれた〈ジュテーム〉は、mederuの最初のシリーズとなりました。伸びやかで、艷やか。豊かでいて、軽やか。それらが生み出す、しなやかな美しさ。言葉にして並べれば、私たちの憧れる女性像そのものとも言えましょう。

柔らかな曲線で織り成され、結び目をかたちどる〈ジュテーム〉は、ゴールドという素材への感動と女性のもつしなやかな美しさをオノマトペのようにして具象化したものです。

しなやかな美しさ、それは自分らしくある人が纏う美のかたちーー

〈ジュテーム〉が今日までかたちを変えることなく作り続けられたのは、これまでに縁を繋いで、素敵な女性たちが身に着けてくださってきたからです。選んでくださった方々は年代から好きこのみまで十人十色ですが、不思議とその方それぞれの女性像を引き出すように感じられたのは嬉しい発見であり、「憧れのかたち」に対して13年かけた研究成果のように感じられます。改めて感謝申し上げます。

mederuのジュエリーは着飾るものならず、己の心によそおうもの。自分らしくありたい芯のある女性、そのしなやかな美しさに寄り添いながら、身に纏う人の体温が移るように馴染んでいき、あなたのものになっていく。初めの頃は贈り物として選ばれていた〈ジュテーム〉、ですがいま「愛しています」という言葉は、身に着けるあなた自身に向けてもらえたらと強く思います。

そしてmederuの始まりとなったこのシリーズが、これからのあなたにとって自分らしくあるきっかけ、大人の女性になるための「始まりの装身具」となれますように。