‘22 Spring Collection Prologue

from mederu atelier


Prologue

こんにちは。 これはアトリエからの春のお便り、春への招待状のようなものだと思って読んで頂けたら嬉しく思います。

今年は東京も例年に比べて雪が降り、久々にしっかりと寒い冬でした。思わず「冬でした」と言いたくなるほどに、今日もまた日が伸び、夕方の空もずいぶんと明るくなっています。アトリエの庭の植物たちも、新しい芽を出し始めました。新しい年が始まったのはもう2ヶ月も前ですが、光を浴びる時間が長くなり、ようやく、本当のはじまりが見えたような気持ちです。

はじまりを表す、「黎明」という言葉が美しくて好きです。 黎の字は「くろ・くろい」「〜に及ぶところ」の意、明は「明るい」の意。 昔の「くろ」は「暗い」が語源とも言われますので、「暗いから明るいに及ぶところ」という意味です。正確に言うとまだ明るくなっていない時間帯ですが、その先のはじまりへの期待も込めた名前が与えられている。日本の言葉というのは、そうした余韻や余白、予兆をはらんだ一編の詩のような言葉がたくさんあり、それに気づくたびに、遠い記憶を思い出すような心地がするのです。

私たちが続けている物作りは、そうした言葉に気づくこととよく似ています。そして少しずつ、先人たちが少しずつ言葉を編み出したように−−すぐそばにあるけれどまだ呼び名のない美しさを形にしてみたい。世界の脅威はまた別のものへと姿を変えようとしていますが、美しいものごとが心を助けることを私たちは知っていますから。これからの一年、どんな美しさと出合うことができるでしょうか。美しく短いこの黎明に、私たちが点した小さな灯りが届きますように。

salon MEDERU

春の企画展のご案内

4月企画展 〈BASIC〉Chain

3月の「白と透明」では、白蝶貝や水晶を中心に、アトリエアーカイヴの1点ものも含めた清々しく凛々しいコレクションをお届け。3月限定のご案内となります。4月は’21年より受注を始めたゴールドのチェーンシリーズに、新作を加えてアップデートします。どちらも詳細は後日更新予定のJOURNALにてご覧くださいませ。