‘25 Autumn & Winter
BASICS _〈Relief〉series
文化を刻む
ジュエリーを探求する私たちは、常に“装飾性”について考えてきた。そもそも西洋の歴史背景の中で育ったジュエリーを、東洋に生きる私たちらしく翻訳していくこと。それが18年の歩みであり、「BASICS」では時を超えて残る美しさの原型を、「LABO」では素材に眠る懐かしい美しさを掬い上げてきた。 そして今回、装飾そのものの意味を問うシリーズ〈BASICS_Relief〉を立ち上げることにした。「私たちにとって装飾とは何か」について、今の私たちの感覚を形にしていく。
この夏、ヨーロッパの街を歩きながら、私たちは装飾の海に溺れた。数百年前の建造物に刻まれた彫刻。かつては権力や栄光の象徴であったそれが、時間を経たいまでは意味を離れ、歴史を映す刻印のように静かに美しさを湛えていた。過剰ではなく、むしろ時の層をまとってなお厳かな趣きを生み出していた。
— 旅から持ち帰った美しい品々
装飾には二つの根がある。ひとつは、自然がもたらす痕跡。石の色や経年の風合いのように、時間そのものが刻んだ奥深さ。もうひとつは、人が文化の中で積み重ねてきた痕跡。柱に刻まれた文様や衣に縫い込まれた祈りのように、手仕事が残した奥深さ。自然の痕跡も、文化の痕跡も、どちらも人を静かに引き立てる装飾である。
古代ギリシア・ローマから続く月桂樹やロープのモチーフは、文化的イコンとして受け継がれてきた。私たちはその文化を繋ぎ、現代にもう一度「刻む」という行為を重ねたい。古典主義に還るのではなく、新しい古典をつくるつもりで。
装飾とは、単なる飾りではなく「文化を刻むこと」である。その痕跡は身につける人の奥行きを映し、美しさを静かに際立たせる。〈Relief〉は、手仕事の文化性、工芸の伝統、装飾の歴史を一つずつ刻み込みながら、未来に向けた新しい古典を目指している。
‘25 Autumn & Winter
BASICS _〈Relief〉series
LOOKBOOK
月桂樹やロープといった古くから残るモチーフをベースに、極小のダイヤを彫り留めるなど、手彫りによって奥行きを重ねたシリーズ。クラシックなムードを持ちながらしなやかな形や静かな質感が一体になり、奥深い品の良さを纏っています。年を重ねるほどにその佇まいが馴染み、大人の品格を形作ってくれることでしょう。