Product Journey

始まりの色

〈白蝶貝〉を使って仕立てるようになって、かれこれ7年ほど経つ。7年前、今季のSEASON素材で取り上げた〈瑪瑙〉と合わせてmederuの“素材探求”は始まった。装身具を作る中でも"宝石"や"天然石"という肩書にピンとこない私たちにとって、この探求は“懐かしくて美しい”というテーマに出会う原点となった素材だ。

白蝶貝の魅力はなんと言っても白いことだ。 色彩や輝きを主役とする西洋ジュエリー において、無色とも言える白はそう多く登場しない。ダイヤの輝きを白銀とは言うものの、それに比べ白蝶貝の白はあまりに静かだ。けれどそれはただ白いのではなく、柔らかな艶を帯びている。透明な真珠層が堆積することで生まれる瑞々しい乳白色は、人の肌の質感にも少し似ている。飾るというよりも、肌と一体になる心地がある。

貝は、最も古い装身具の一つである。古代、貝殻は動物の骨や牙などと並んで装身具として加工されていた。古代の人は、動物の骨や牙を借りることでその勇猛さを示したり、豊作を祈ったりしたと言われる。骨も牙も白い。まだ衣服もそれほど発展していない古代の人たちが、荒野で白い骨や貝の装身具を着けていると想像すると、なんだかすっと背筋が伸びる気持ちがする。もし骨が真っ赤や真っ青だったらどうだろう。静謐な白だったからこそ、肉体だけでなく、心の凛々しさや気高さへの真実味が透けていたのではないかと思う。

暗い夜が明け、一面が朝日に晒されると、あらゆるものは白くなる。新しい始まりの色である白は、色がないのではなく、最も強い色である。自分のアイデンティティを示す装身具の始まりがその白であったことは、必然だったように思える。装身具の原点でもあり、私たちの原点でもある白蝶貝。その透き通るような柔らかな白に、静かな強さを込めていたい。


白蝶貝 _ Mother of Pearl

 

受注開始:2021.4.16 ~
シーズン中は受注予定ですが、来シーズン以降にマイナーチェンジすることもございます。あらかじめご了承ください。

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