ジュエリーの歴史が西洋に比べて浅い日本においても、真珠は古くから近しい存在です。礼節としての側面は大きいものの真珠のジュエリーを持つ人は多く、自身の身近な大人の女性たち−−母親や祖母などが真珠を耳や首元に添えていた姿は、現代の女性たちの粧いの原体験となっているのではないかと思います。また、アコヤ真珠は日本生まれ。真珠が育つ海は周りを山々に囲まれた穏やかな入江にあり、真珠の色つやはその土地の空や海の色を映し出しているようです。真珠の美しさは日本の風土そのものであり、真珠の生まれ故郷は私たちの感受性のふるさとでもあると感じます。その古くから受け継いできた凛とした女性像や自然への感性を呼び覚ますような美しさが、真珠には宿っている。私たちは真珠を通じて、日本女性たちの美しさの原風景を見つめ続けています。

日本では白くて丸い珠が代表的ですが、私たちの選ぶ真珠はすべて自然な色と形の珠。これらは一般的に“バロック真珠”と言われますが、丸珠もバロック真珠もすべて同じように、養殖家の手によって丁寧に世話をされ時間をかけて海で育ちます。人と海の営為の中で生まれる真珠の自然な個性に惹かれる私たちは、長年バロック真珠を取り上げてきています。信頼をおく養殖家から毎年譲り受けている真珠は、うるうると瑞々しい珠ばかり。形や大きさ、色調は珠の個性と捉え、私たちは特に美しい照りを持つ珠をアトリエにて一つずつ選び、自然体でありながら麗しさのあるものに仕上げていきます。日常に馴染みやすく、歳を重ねてグレーヘアーになった先にも凛々しい印象をもたらしてくれるコレクション。この先の時間を共にする自分だけの真珠を見つけて頂けたら嬉しいです。

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23SS  生命のつや
22SS はるかなる光