‘25 Spring & Summer
LOOKBOOK
Prologue
過去との再会

20世紀を代表する心理学者ヴィクトール・フランクルの著した『夜と霧』の中に、こんな一節が出てきます。「すべての過去は、永遠に保存され続ける」。

私たちは、ジュエリーというプロダクトを探求し続けて18年目に入りましたが、今が一番作ってきてよかったと思えています。意外に思われるかもしれませんが、本当なのです。

創業時、私たちは「愛用することの豊かさ」を届けるべく、ジュエリーという存在を見つめ始めました。歳を重ねた先にも馴染み続けていく、上質でタイムレスな美しい装身具。そのヒントを長く残り続けてきた古いものたちに求め、探求を続けました。すると、過去にあったはずの美しい手仕事や美意識の数々は、ほとんどが土に埋もれ忘れ去られていることを知りました。それらを丁寧に掘り起こし、〈BASICS〉や〈LABO〉といったジュエリーに落とし込んでいく活動は、私たちが連綿と受け継いでいる感性やアイデンティティとの再会でもありました。

また、〈BESPOKE〉では、受け継いだ古いジュエリーの背後にある小さな物語の数々に触れてきました。ゆっくりとお話を伺ううちに、多くの方がとりとめのない、けれどかけがえのない思い出を話し出します。それはジュエリーを通じて、もう二度と会うことの叶わない人と再会しているかのようです。〈BRIDAL〉も、同じことが言えます。小さな日々の中で、指輪に味わい深く重なっていく時間の跡。使い込んだ指輪は、過去の私との再会でもある。これは「昔はよかった」という懐古主義では決してなく、記憶の積み重ねの先に豊かさがあるということを示します。

ジュエリーを作っていてよかったと思うのは、このように、時間をすべて保存してくれるからです。姿が消滅する事のないジュエリーだからこそ、純粋に、持ち主の時間を刻み、受け継ぐこともできる。流れていく時間を留めて愛おしむことは難しいけれど、ジュエリーという器に収められた時間は、記憶となって永遠に保存される。長く付き合うほどに、私の存在を再確認できる。これこそが愛用の実践なのではないかと、やっと確信を持ててきているのです。

どれだけ時間が経っても、あなたの過去から何かを奪える人は決していません。私たちはジュエリーを通じて、ひとりひとりの豊かな時間を応援していきたいと改めて思います。

MEDERU atelier

’25 Spring & Summer
COLLECTION

今季の素材探究〈LABO〉や、定番の〈BASICS〉をアップデートした一点ものなど、長くご愛用頂けるアイテムを揃えました。

  • 一点ものは在庫状況が変動いたします。お取置きはできませんので、あらかじめご理解ください。
  • 東京のsalonまたは移動展示会CARAVANにてご案内しています。直接のご来訪が難しい方はオンラインでビデオを繋ぐ「Online Boutique」でのご相談もご検討ください。

最新情報は「WEB LETTER」にてご案内しています

‘25SS LABO 霞

霞がかったような質感のカルセドニー、中でも灰白〜灰青の繊細な階調を持つ原石を磨き出しました。その質感は、石内部の粒子が光を散乱することで生まれるもの。粒度のある曖昧な美しさは、春のあけぼののように千年の記憶を繋いできたものに通じます。色というよりも光そのもののニュアンスを宿し、身につける人の魅力の余韻を引き出すコレクションです。

‘25SS BASICS _ Nude & Tiny-dia

今季は〈Nude〉〈Tiny diamond〉シリーズをブラッシュアップしました。〈Nude〉からは数年間の構想・試作を経てお届けするシリーズ初のバングルや、小ぶりでさらに馴染み良いゴールドピアスをご案内します。〈Tiny diamond〉は小粒のダイヤモンドが並ぶリングに新たなセッティングを試み、スタイルのバリエーションが広がります。

Release : 4月予定

‘25SS Pearl

真珠は女性にとって特別な存在であり、MEDERUがゴールドとダイヤモンドに並ぶベーシックなものと位置付けている素材です。今年も信頼する養殖家から受け取った瑞々しい艶のバロック真珠を、成熟を知る女性の日常にお届けします。奇をてらわず、日々のスタイルの基盤になるような頼もしいラインナップをご自身のお好みやサイジングに合わせてお仕立てします。

Release : 6月予定