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Diamond / 輝きの中に“調和”を見る

私たちがブライダルにおいて最も心がけている「使い続けて美しくなる」こと。そのためには見た目も心地も、日常の中で違和感のないことが大切になります。特にダイヤモンドには、その輝きや質感に気を配り、古い時代のカットを施しています。「オールドカット」と呼んでいるそれらは、ダイヤモンドの研磨技術が発達する過程で生まれてきたものです。

“ダイヤモンドは輝くもの”そうお思いの方も多いことでしょう。実際に現在のダイヤモンドは非常によく輝きます。しかしそれ以前には、ダイヤモンドが“輝かない”とされる時代も存在したのです。

宝石の中で最も硬いダイヤモンドは、産業革命以前は気の遠くなる時間をかけ手で磨るほかありませんでした。自ずと手が入りきらない部分もあっただろう当時に磨かれたダイヤモンドの表情は"輝きを最も強く引き出す"べく研究された現代のブリリアントカットに比べると遥かに静謐です。

例えばオールドカットを代表する「ローズカット」は蝋燭の明かりの下で夜会を愉しむ時代に生まれたものです。十分にまばゆかったのだろうと想像でき、同時に今の時代には物足りないであろうともいえます。ですが、私たちにはとても魅力あるものに映りました。

そうした古いダイヤモンドに見たのは、時代を映す物の見方でも、西洋社会の文脈でもありません。見ようによっては不完全で、輝きの中に余白のある表情。飾り立てるよりも控えめに、周りと、自身と調和する輝き—— ジュエリーが生まれた土地とは異なる文化に生まれ育った私たちが見出せる美しさは、そのようなものではないかと感じています。

こうしたオールドカットの探求と発見は、私たちがジュエリーという西洋の文化に携わりながら、それらを日本の美意識をもって捉えているのだと気付かされた出来事でもあります。また、結婚指輪のように長く付き合っていくもの=愛用品を考えるということは、身に着ける人のルーツを再認識する行いともいえるでしょう。

4C(※ダイヤモンドの品質を表す国際基準)では測れないオールドカットの個性が、これからのご自身にとってより心に馴染む選択の一つとなれば幸いです。